読書

予感的中でびっくり/「星新一ショートショート」

この春からNHKで始まった新番組。星新一ファンにはたまらない10分間、3本のオムニバス。 今夜会社から家に帰ってくる電車のなかで、そういえば月曜日だ。今日は何の作品が放送されるのかな? と想像していました。そして、なんとなく好きな作品の一つであ…

風洪&白圭が繰り広げるスペクタクルロマン/「孟嘗君」宮城谷正光

孟嘗君(5) (講談社文庫)作者: 宮城谷昌光出版社/メーカー: 講談社発売日: 1998/10/07メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 12回この商品を含むブログ (11件) を見る 三国志すら読んだことがない自分ですが、知り合いにすすめられて宮城谷センセイの「孟嘗君」…

かなりヤバい、涙なくしては読めません/「毎日かあさん4」西原理恵子

最初、こどもたちにまつわる笑い話の4コマが、これでもかと続きます。真ん中くらいで、サイバラさんの元夫の鴨ちゃんが精神病院から退院してきて、改めて家族4人で暮らし始め、そして夫婦ふたりで取材したカンボジア旅行記から、ひとつの物語の終焉へ。 合…

アル中と愛を赤裸々に綴る/「酔いがさめたら、うちに帰ろう」鴨志田穣

白シャツに赤ら顔の装丁。爪楊枝をくわえたシャイでクールな鴨ちゃんの似顔絵だ。じわじわとインパクトのあるこの絵は、いったい誰が書いたんだろう。サイバラの絵じゃないしなー、と思ってページをめくってみたら、なんとリリー・フランキーだった。渋い。 …

神経症患者*1と精神科医のおもしろ対談/「香山リカのきょうの不健康」

【香山】 どんな症状ですか? 【高橋】 あのころ、けっこうひどかったですね。ミカ・バンドのころだったけれども、目が見えなくなったりするんです。それでドームに入っちゃったような−−−話していると、またなりそうだな(笑)。 要するに、すごい強迫観念が…

鴨ちゃん、安らかに/「鳥頭紀行ジャングル編」西原理恵子×勝谷誠彦

はてなの検索ワードのトップに「鴨志田穣」とあったので、はてはて? と疑問が沸いた。だって、サイバラの元夫である鴨ちゃんがネタになることなんて、世の中一般的にはそんな多くはないだろうから。 いったい何があったんだろう。事件でも起こしたのかな。…

夜のおともに、きまコン/「気まぐれコンセプト クロニクル」ホイチョイ・プロダクションズ

気まぐれコンセプト*1の単行本が出ていると知ったときの驚きは、かなりのものでした。ホイチョイは、もう出版するつもりはないのだろうと思っていたから・・・。 気まぐれコンセプト クロニクル作者: ホイチョイ・プロダクションズ出版社/メーカー: 小学館発…

一生下積むことが、ぼくの仕事なんですよ/「現場者」大杉漣

大杉漣さんといえば、北野武監督の「ソナチネ」のオーディションで、監督とほんの一瞬だけ顔を会わせただけなのに合格したというエピソードは知っていたけれど、いつから役者をやっていたのかとか、素顔はどんな人なのかとか、そういうのは全然知りませんで…

え、それってどういうこと?/「出会いの先に」進藤晶子

ほとんど何も書かれていない一面白地の、いやちょっとクリーム色してるけど、一見すると表裏どっちから開ければ悩んでしまうような、とてもシンプルな装丁。右上隅にこっそりと申し訳程度に書いてある「出会いの先に」が、この本のタイトルなのです。 週刊ア…

漢字に捧げた人生

漢字研究一筋、独自の文明論─白川静氏が死去(YOMIURI ONLINE) 一貫して漢字研究に打ち込み、中国最古の文字である甲骨文字をはじめ漢字文化圏の古典を丹念に読み解いて独自の文明論を展開、通説への批判精神に満ちた「白川文字学」を樹立した。76年に同…

志を継ぐのは難しい?/「洋食や」茂出木心護

炎天下の真夏だというのに、立ち食いラーメンを食べてきました。味噌ラーメン800円。カウンターの向こうには、ダシを取るための円柱形鍋が2つ、ダン!ダン!って感じで置かれてまして、なかは鶏ガラやら何やらいっぱい詰め込まれて、グツグツ煮立ってました…

あふれる才能とパワー/筒井康隆

R25に筒井康隆さんのインタビューが載っていた。いやあ、70歳をすぎているというのに、かっこいいし若いですねえ。自分もこんな風に年を取りたいと、切に願っちゃいます。 このところ、筒井さんの作品が立て続けに取り上げられています。テレビでは「富豪刑…

ある女性日本画家の生きざま/「命の軌跡―堀文子画文集」

命の軌跡―堀文子画文集作者: 堀文子出版社/メーカー: ウインズ出版発売日: 2003/04メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 273回この商品を含むブログ (4件) を見る わたしは女性の日本画家というのを寡聞にして知らない。実際に少ないのか、自分が知らないだ…

こどもが読んだらどう感じるんだろう、ってな絵本/「CATWINGS」ル=グウィン

「ゲド戦記」がジブリの手でこの夏に映画公開されるってんで、じゃあいっちょ原作を原書で読んでみっかあ、と手にとってみたものの、力及ばずあっさり撃沈。事前に日本語であらすじとか背景とかを予習したにもかかわらず、英語では意味もわからないし、舞台…

そもそも、これは愛なのか?/「容疑者の献身」東野圭吾

言わずとしれた、第134回直木賞受賞作。ふだん、芥川賞・直木賞の受賞作を読んでみるなどしたことがないのだが、それなのに今回この本を手に取ってみようと思ったのは、友人のとある感想がきっかけだった。 理系でもてない男の悲哀が描き尽くされた作品だ。…

挑戦する心と得られたもの/「女中たち」パンフレットより

「女中たち」のパンフレットにインタビューが載っている。出演者である3軒茶屋婦人会メンバー3人と、演出のG2、そしてインタビュアー(?)の古田新太である。これがとても面白かった。 そもそも、この3軒茶屋婦人会は男優3人が女優として演ずる舞台を…

これも読書なのだ/「関東道路地図」昭文社

自分の車にはカーナビがついていない。あれば便利なのはわかっているけれど、ついついナビ頼りになってしまい、道を覚えなくなるのではないだろうか。そうすると、なんだか脳が退化しそうで、買わないことにしている。 その代わり2年に1度、年が明けたころ…

翻訳の良し悪し/「チョコレート工場の秘密」柳瀬尚紀・訳

「チョコレート工場の秘密」を立ち読みした。内容は読んでいないのだけど、柳瀬さんのあとがきを読んだ。柳瀬さんといえばフィネガンズ・ウェイクが有名である。言葉にはこだわりがあるわけだが、この作品でも名前にこだわったらしい。 ところがアマゾンの書…

司馬遼太郎の書き方/「竜馬がゆく」司馬遼太郎

いつからだったか、1〜2ヶ月まえからだと思うが、「竜馬がゆく」を通勤中に読み始めた。今朝、二日酔いでやや朦朧とするなか、ついに読了。 司馬さんの作品はこれしか読んだことないのだが、この感想はまた日をあらためて。竜馬がゆく (8) (文春文庫)作者:…

フィクションとノンフィクションの境界/毎日かあさん

西原理恵子の「毎日かあさん」について、4月に読書感想文をアップした。 http://d.hatena.ne.jp/nariya/20050422 http://d.hatena.ne.jp/nariya/20050427 この本の内容について、論争が沸き起こっているらしい。 http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/entertain…

全身小説家の作品を読む/井上光晴

まだ「全身小説家」は途中までしか見ていないのだが(2005/5/27の日記参照)、その映画のなかで井上さんが自分の作品を推敲するシーンがあった。それがこの本である。 紙咲道生少年の記録作者: 井上光晴出版社/メーカー: 福武書店発売日: 1991/05メディア: …

きちんとした日本語を書く/ダカーポの文章上達講座

職場で「きちんとした日本語を書く文化つくり」活動が盛んだ。本当は「きちんとしたビジネス文書を書く」を目標にすべきだと思うが、まあそれについては上の方々のご指示なので、心のなかで逆らいながらもしたがっている。その活動の一環として、以下のよう…

三谷君と野田版歌舞伎/「三谷幸喜のありふれた生活」三谷幸喜

ひょんなことから、三谷君の本を読んだ。朝日新聞の連載を単行本化であり、パート3の「大河な日々」は購入済だが、前の2冊は読んでいなかった。この本の発売は2002年1月であり、エッセイが執筆されたのはもっと前だということになる。 この中で、三谷君が…

大都会東京で生き抜くには/「上京ものがたり」西原理恵子

借り物サイバラ3作品の最後である。前の2作品もそうだが、全編カラーのマンガなので、30分もあれば読める。そして、読後感は爽快。 上京ものがたり作者: 西原理恵子出版社/メーカー: 小学館発売日: 2004/11/01メディア: 単行本購入: 13人 クリック: 61回こ…

ほんとにほんとに/「毎日かあさん2 お入学編」西原理恵子

借り物サイバラ本の第2弾。 毎日かあさん2 お入学編作者: 西原理恵子出版社/メーカー: 毎日新聞社発売日: 2005/03/31メディア: 単行本購入: 9人 クリック: 22回この商品を含むブログ (216件) を見る 文句なく面白い。一番面白かったのは、小学校に入学した…

サイバラに幸あれ/「日かあさん カニ母編」西原理恵子

会社で同じチームのK氏から、本を借りた。毎日かあさん カニ母編作者: 西原理恵子出版社/メーカー: 毎日新聞社発売日: 2004/03/22メディア: 単行本購入: 7人 クリック: 76回この商品を含むブログ (203件) を見る帰りの電車で一気に読んだ。毎日新聞に連載さ…

プロになりたい

瀬川晶司という人が、日本将棋連盟に嘆願書を提出している。自分をプロとして認めてくれ、という願いだ。 http://www.shogi.or.jp/osirase/news/2005-03.html#segawa 将棋界では、アマがプロと公式戦で対局する機会が、わずかながらある。彼はこれまでプロに…

夢の続きか/「緑色の獣」村上春樹

村上春樹の作品というのは人生で一度も読んだことがなかったのだが、たまたま友達から借りる機会があったので、ちょっと読んでみた。基本的に長編小説は苦手なので、短編なのであるが、ざっと目次を見てページ数が短いやつを選んだ。うまい具合に計10ページ…

原作先読みの楽しみ/「Charlie and the Chocolate Factory」Roald Dahl

電車で吊り革につかまって帰宅中、左斜め前の座席にOL風の女性が二人座って世間話をしていた。 「絶対『ネバーランド』は面白いよ。ジョニー・デップがいい演技してるし」 「へえ〜、そうなんだ?」 「騙されたと思って、見に行ってみなよ!」 「ふうん、そ…

こどもの頃読んだ本

小学生になったかならないかの頃、子供用の百科事典をよく読んだ。同じものを繰り返し繰り返しぼろぼろになるまで読んで、内容をすっかり覚えてしまうほどだった。 しかし、絵本を読んだ記憶がまるでない。記憶の片隅にすらない。この年になると知り合いに子…