積木くずしというブランド
穂積由香里さんの訃報を見たのは、いつのことだったろう。つい最近のように思えたが、実はもう一年以上前のことなのであった。まだ三十代なかばでの死に、びっくりした記憶がある。
金曜・土曜の2夜にわたって、「積木くずし真相 〜あの家族、その後の悲劇〜」が放映された。
23年前にベストセラーとなった原作も当時読んだし、高部知子主演で大ヒットとなったドラマも見たものとしては、あれからそんな長い年月が経ったのかと、感慨深いものがあった。こうなると、ドラマを実体験している錯覚すら覚える。
「積木くずし」があまりにも世間に知られてしまい、いつまでもどこまでもそのレッテルを貼られてしまう由香里さん。その胸中はいかばかりだったろう。両親の離婚、実の母親の自殺。そして、自分自身の若くしての死。いたたまれない気分にさせられる。
23年前の本のなかでは明かされなかった(というより穂積隆信が知ることのできなかった)、娘が非行に走るきっかけとなったできごとについても、この最新作のなかで記されている。それは、有名人である父を持った人間なればこその経験だったのだろうか。そうだけとも言えない気がする。ただ、その憎しみを自分の親にぶつけるのは、十代前半の自我が確立しきっていない年頃の人間には、いたしかたないことなのかもしれない。
由香里さんにいじめを働いた人たち。きっと日本のどこかにいるはず。どんな思いでこのドラマを見ていたのだろう。どんな後悔を抱いて生きてきたのだろう。
それとも、そんなことがあったことはすっかり忘却の彼方なのだろうか・・・。
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