予想以上の出来!/チャーリーとチョコレート工場

待って待って待って待って待ちわびた映画。いつもは新作映画といっても、テレビCMが始まったり、番組で紹介されたりして認識するものだったりするのがふつうだ。今回のように、撮影中から公開を長い間待ちつづける映画なんてそうはない。当然のように公開初日に突撃した。


まずはオープニング。スクリーンには薄暗い曇天のもと、チョコレート工場近くの街並みが映し出される。バックを流れるのは明るい音楽と思いきや、雲行き怪しい未来を彷彿とさせるような、ずっしりとゆっくりとした暗い音楽。街並みからカメラがなめるようにして、映像は工場の煙突へ向かっていく。近づくにつれてストリングスによるリズムが刻まれはじめ、コントラバスも映画館を震わすように鳴り響き、煙突のなかに入ったとたん、半音をあがったりさがったりの三連符のところで、チョコレートが溶けていく同心円状の渦のうえにタイトルが・・・。勝手に想像していたあたたかな雰囲気のオープニングは、そこにまったく存在しなかった。頭をガツンとやられて、すっかりスクリーンに引き込まれる。「終わったらサントラを買おう!」と思った。


世界に散らばる「Golden Ticket」を手にした5人のこどもたち。彼ら彼女らが工場に招待されるまでは、こどもたちとその家族のキャラの説明。そして、みなが工場のまえに集まり、いよいよ工場の扉が開かれる・・・。そこから先は、ティム・バートンの想像力が爆裂、みごとなまでのセットと動き。各シーンが原作に忠実に再現されていて、もう満足満足、大満足。


ウンパルンパ族は、歌と踊りが大好き。かわいい振り付けと、揃いも揃った強面の顔、そして耳に残る音楽。Veruca Saltのシーンが、音楽、映像、ダンスすべてにおいて好き。Mike Teaveeのロックオペラも捨てがたいけれど。


映画では、最後に原作にないシーンが盛り込まれていた。原作は唐突に終わる感があったけれど、映画のほうが話として完結していて、納得感がある。こちらの方が好きだ。こども向けの映画かと思っていたが、これは明らかにオトナがこどもに戻って観るための映画だ。こどもがこれを観たら、どんな感想を持つのだろう。