グッゲンハイム美術館展

Bunkamuraザ・ミュージアムで開催されている、グッゲンハイム美術館展に行ってきた。去年の11月に出張で2週間ほどニューヨークに行ったが、そのときはメトロポリタンとMoMAしかいかなかった。なぜグッゲンハイムに行かなかったのか、いまとなってはちょっと後悔している。たぶん、お土産探しをすることで手一杯だったのだろうが。


今回特に気に入ったのは、以下の三作品。

  • アンリ・マティス「イタリア女」
    • いいですねえ。この人の描く肖像画の顔が結構好きなのかもしれない。全然イタリアっぽくなくて、たたずまいもおしとやかで、どことなく大和撫子の風情さえ漂う。背景がグレーだったような気がするが、ちっとも暗い雰囲気でないのが不思議。
  • ピート・モンドリアン「青い菊」
    • モンドリアンの作品といえば、「ブロードウエイ・ブギウギ」が有名。抽象画という存在を始めて知ったのが、この作品だった。だからこそ、モンドリアン=何が何でも抽象画、という図式が頭の中で出来上がっていたのだが、こういう普通の静物画も描いていたことを初めて知った。しかも、普通に上手い。壁にあった説明によれば、彼は売れない抽象画の実験的創作を続けるために、売れる静物画を描いていたらしい。自分のやりたいことをやるために、世間に迎合することもある。人生、それでこそ楽しめるのかもしれない。
  • ヴァシリー・カンディンスキー「多様な動き」
    • カンディンスキーと言えば「コンポジション」シリーズ。なんというか、爆発した感情を絵に描いた、という印象が強いのだが、晩年に描かれたこの作品は違った。丸みを帯びた形をした抽象図形があちらこちらに散らばっているが、それらは微生物のように見えなくもない。これを見て思い出したのは、星新一の「ようこそ地球さん」という本に描かれている真鍋博の挿絵。一人で勝手に楽しさを増幅していた。


モンドリアンカンディンスキーは抽象画を始めた人たちで、いわゆる現代アートという括りになるのだろうが、その絵が持つ背景というか筋書きというか文脈というか、そういうものを知らないと現代アートは楽しめない。もっと修行が必要かな。