中村勘三郎と野田秀樹/十八代中村勘三郎襲名公演

十八代目中村勘三郎襲名公演に行ってきた。夜の部で、お目当ては「野田版研辰の討たれ」である。とはいえ、その前には菊五郎の「義経千本桜」、玉三郎の「鷺娘」と、ファンには垂涎ものの演目が並んでいる。聞けば、普通ならこれだけでも満席になるだろう出し物だとか。それが三本立てとは、なんともぜいたくな公演である。さすが襲名披露。


義経千本桜。実は正直なところ、尾上菊五郎の名はほとんど知らなかった。いま調べてみると人間国宝なのですねえ・・・。恥ずかしながら予習もせずに行ったので、上演中にパンフレットを見ながら話を追う。海老蔵義経との掛け合い。新旧対決という感じで、ちょっとどきどき。狐になる菊五郎。手すりに飛び上がって歩いたり。なんと身軽な。そして、鼓を名残惜しむ様を舞で表現。なんとも健気である。
鷺娘。着物の色と形と模様の美しさ。それに加えて、何度も早変わりがある。きれい。きれい。うつくしい。それから舞台右にお囃子が整然と並ぶ。舞台上に降りしきる雪。そして小道具。すべてが美しい。そして、それをすべてとりまとめてしまう玉三郎の舞に、目が釘付け。一つ一つの動きにわずかの無駄もない。本当にうっとりしてしまう。


そしていよいよ研辰。勘太郎七之助染五郎獅童といった若手から、橋之助三津五郎といったベテラン(中堅?)まで。七之助の最初のセリフに歓声があがってたのは、やっぱりあの事件のせいもあるのかな。


(つづく)