芝居はたいせつ/「戦国自衛隊1549」
それにしてもインパクトのあるタイトルである。それだけで人をひきつける力を持っている。
半村良の旧作は知らないし、映画も見たことがない。フリーペーパーの"R25"で特集されていたので興味をもった。原作からは、自衛隊が戦国の世にタイムスリップするという設定だけを用いていて、ストーリー自体は一から新たに作ったとのこと。
原作は「終戦のローレライ」「亡国のイージス」と今年に入って大作映画が立て続けに公開(後者はこれからだが)される福井晴敏。実は、いままでまったくその名を知らなかった。「ローレライ」はなんとなく見過ごしたが、こちらは見てみようと思った。それもなんとなくなのだが。
制作費15億円。自衛隊全面協力で、本物の戦車や戦闘機が出てくる。そうかと思えば、合戦シーンは多くのエキストラを使い、迫力はなかなか。お城(天母城)も実際に自衛隊の駐屯地敷地内に建ててしまったという懲りようで、最後に落城するさまは圧巻というほかない。上演時間2時間ちょっとで、アクションは理屈抜きに楽しめる。
といいところはあったのだが、目につくところもかなりあった。
とにかく芝居が下手な人が多い。メインキャストからして、見るに耐えない人が散見される。アクションシーンで世界に引き込まれても、芝居になると現実世界に引き戻される。
それから、話が唐突に展開していく。ネタとネタの間をつなぐ話がない。編集の都合なのかもしれないが、これも思考が寸断される原因。
アクションシーンも、本物の時代劇に比べると、やや迫力にかけるきらいあり。時代劇としては、芝居や迫力の面からいったら、ラストサムライの方がよいと思う。ストーリーは別としてだが。
独断と偏見で役者の評価をしてみる。
- Good
- Bad
- So-so
それにしても、自衛隊はこれに協力することで何かメリットがあるのだろうか。普通なら、ここまでいろいろ便宜をはかってくれることは、あまりないような気がするのだが。
おまけ。隊員が他の隊員を呼ぶとき、「〜にい」と言うのが妙に違和感があった。たとえば、「与田にい」という感じ。実は、てっきり「与田兄」だと思っていたのだ。よくよく考えてみると、鈴木京香の神崎怜も「神崎にい」と呼ばれていたので「兄」のわけはないのだが。