家族とは/「ラストショウ」

パルコ劇場で、ラストショウを観た。永作博美風間杜夫古田新太、そして長塚圭史の作・演出。どこかの雑誌のインタビューで、「酒好きが集まりました」という風間のコメントを見かけたが、きっと相当飲んだのだろう。


長塚作品は、シリアスと笑いの両面を持ち合わせているけれど、その振幅が大きすぎると思う。うまく混ざり合っていない感じ。今回も、古田さんが犬を食べていたことが判明したあたりから、もっとシリアスにならないと流れが続かなそうなのだが、その間にも笑いが入ったりして、どうも舞台の中身に没頭できなかった。


ストーリーとしては、言いたいことはわかる。親が子を憎む気持ちとか、動物を愛するとはどういうことなのかといったこと。偽善を暴く普通の人が、自身も偽善を抱えているということ。ただ、それを表現する手段は、もうちょっとやりようがあると思う。いささか乱暴な話の展開は、若さゆえなのか、性格ゆえなのか。


今回の一番は永作博美。行く前からお目当て。かわいいし演技も上手かった。細かいところまでちゃんと演技していて、なにげに実力派なのだ、と思った。


古田さん、芝居についてはいまさら言うことなし。「はるか17」出演で忙しいなかを、よくこんな大変な舞台までやってる、って変なところで感心。


風間さんは初めて見たが、まあ芸歴長いし、こちらも安心して見ていられた。


北村有起哉は、なかなかいい演技だと思う。一度壊れた役を見てみたい。調べてみると、父親が北村和夫。偶然ではあるが、先週、田村正和の舞台で吉宗をやってるのを見たばかりだ。


中山祐一朗は、どうも演技が好きじゃない。なんだかわざとらしいと感じてしまう。阿佐ヶ谷スパイダースでも同じような演技なんだろうか。


水子だった市川しんぺーは、「猫のホテル」の人だと後で知る。劇団の名前は聞いたことあるが、舞台は見たことなかった。役柄を差し引いても、顔が個性的で強烈。


長塚作品を今後も見るかというと、ちょっと考える。あまり後味がすっきりしないので。もう少しだけ見せ方を洗練してくれれば、喜んで観るのに。ただ、彼の舞台はいい役者が揃うので、それでまたつい観に行ってしまうのだろう・・・。


彼が「家族」というテーマに妙にこだわっているのが、気になるところ。今後どうなることやら。