急遽再結成公演/伊東四朗一座

池袋の東口、サンシャインシティ隣の文化会館。この4階にサンシャイン劇場がある。雰囲気はパルコ劇場に近い感じ。今回は2階席だったのだが、階段を登ることしばし。4階ぶんくらい進んで、ようやく入り口へ。座席につくとやたら舞台との角度が急で、見下ろす感じである。


上演中の「伊東四朗一座 〜急遽再結成公演〜」を観劇。伊東四朗座長を筆頭に、三宅裕司小倉久寛渡辺正行春風亭昇太東貴博といった芸達者な面々。上演時間まであと少しあるところで、幕の前に誰かが現れる。東だった。「開演五分前!」そう告げて、彼は去っていった。劇場の空気が一気に和む。見事な「前説」だ。


そして開演。前半は面白い。しっかり作りこまれた脚本から繰り出されるテンポのよいセリフと展開。伊東は売れない歌手の役で、そのマネージャーが三宅、事務所社長が小倉。カラオケを使って新しい歌を覚えさせようと小倉が努力するも、すべて古い歌に替えてしまう伊東とのやりとりで爆笑。伊東と三宅のなにげないふつうの会話も、安心して笑える。さらに、伊東が新境地を開くために芸人役の渡辺とコントをするシーンが秀逸で、大爆笑。芸歴50年近いと思われる伊東が醸し出す円熟の笑いは、それまで多くの名だたる芸人との切磋琢磨によって培われたものであり、現在でも十分通用するところが素晴らしい。


ところが後半は突然つまらなくなる。これは出演者が悪いのではなく、脚本とか構成がいまいち。伊東四朗の娘役で日替わりゲストが出演しているのだが(今日は南野陽子)、彼女とのアドリブでのシーンはそれまでの小気味よいコントとはまったく異質なもの。それはそれで面白いのだが、前半とのギャップはあまりにも大きい。また、病気の彼女を良くするためにまわりのみんなが笑わそうとしてコントをやるのだが、それまでの流れとはまったく関係ないシチュエーションになったりして、とにかく構成がブツ切りの印象が強いのだ。


とはいえ、前半の充実感はじゅうぶん満足いくもので、さすが芸達者が集まると面白い舞台が堪能できる。来年も再々結成してくれることを切に願う。