みごとな脚本と子役の演技/女王の教室

以前にも書いた日テレ「女王の教室」を久しぶりに見た。相変わらず面白い。なんといっても天海祐希演じる鬼教師・真矢が、存在感ありすぎ。彼女が黒めの服を着て、髪をうしろにまとめて、背筋を伸ばして廊下を歩く姿は、凛々しいまでの美しさ。そして、生徒たちに無理難題をふっかけるときの、背筋が凍るような冷徹さ。ここまでの雰囲気を出せるのは、さすが女優である。


しかし、このドラマの主役は真矢ではない。こどもたちなのである。特に真矢に叛旗を翻すふたりが上手い(志田未来松川尚瑠輝)。その安定した演技は、ちょっとした風格さえ漂っている。


そして脚本、遊川和彦。古くは田村正和のTBS系ドラマを、それ以降もGTO魔女の条件真昼の月といった数々の話題作を手がけている。おちゃらけ系からマジメ物までこなす、かなりのベテラン。今回の作品では、真矢の脅しによってこどもが陥りやすそうな行動を、余すことなく描いている。真矢のような先生は存在しないだろうが(世間の目がうるさかろう)、もしこういう脅しをかけられたら、こどもは簡単に友達を裏切ったりするだろう。いかにも本当にありそうな話なのだ。


真矢の常識はずれの非情さをうんぬんするより、その前提で繰り広げられる世界の是非を考えてみたい。これは、そうやって味わうドラマなのである。