翻訳の良し悪し/「チョコレート工場の秘密」柳瀬尚紀・訳

チョコレート工場の秘密」を立ち読みした。内容は読んでいないのだけど、柳瀬さんのあとがきを読んだ。柳瀬さんといえばフィネガンズ・ウェイクが有名である。言葉にはこだわりがあるわけだが、この作品でも名前にこだわったらしい。


ところがアマゾンの書評を見ると、ボコボコにけなされている。どうやら旧訳との違いに怒っているようだ。旧訳がどのような名前にしていたのかはわからないが、

  • 主人公はチャーリー・バケツ
  • 食いしん坊のオデブ君はオーガスタス・ブクブトリー
  • お嬢様のベルーカ・ソルトは、イボダラーケ・ショッパー
  • ガム好き娘のバイオレット・ボールガードは、バイオレット・アゴストロング
  • テレビっ子のマイク・テービーはマイク・テレヴィズキー

原作を読んでいるときに漠然と思っていたのだが、Bucket(意味はバケツ)とかSalt(もちろん塩のこと)なんて名前は、やっぱりふつう存在しないらしい。となると、この不自然な名前はまんざらおかしくはないはず。というか、極めて正しい訳だ。日本人が「バケット」とか「ソルト」とかの響きで認識していると、爽やかな語感さえあるかのように認識してしまいがちだが、そういう人が意義を唱えているのではないか。


今回の翻訳本の中身を読んでいないから正確なところはわからない。ただ、アマゾンの書評を見て、逆に読んでみたい気になってきた。個人的には柳瀬さんはすごい人だと思っているので、評判が悪いものは自分でその真偽のほどを確かめたいのだ。


チョコレート工場の秘密 (ロアルド・ダールコレクション 2)

チョコレート工場の秘密 (ロアルド・ダールコレクション 2)