先生はこどもとどう向き合っていくべきなのか/女王の教室スペシャル


女王の教室スペシャル〜エピソード1、2が放送された。連ドラのときと異なるオープニングのメッセージが、今回のドラマのあらすじを物語っている。

この物語は
愛と理想にあふれた一人の女教師が
悪魔のような鬼教師に生まれ変わるまでの
数年間の記録


こどもへの教育とはなんなのか。連ドラは、その本質をとことん問いかける名作だったが、このスペシャルでは何を問いかけるのか。

  • エピソード1
    • 若かりしころは白い服を着ていた初々しい真矢だが、その純粋さや優しさがアダとなり、仕事も恋人との関係もだんだんと歯車が狂いだす。このあたり、よくよく考えるととてもありがちな話なのだが、出演者の演技が達者なので知らず知らずのうちに引き込まれてしまう。とくに真矢を慕う生徒の女の子・池内愛役の後藤果萌は、複雑な役柄をきちんと演じていて、うまかった。
    • こどもに愛情をかけるということと、こどもに自分の考えを押し付けるということの違い。どれだけの人がその違いをわかっているのか。そして、実践できているのか。考えさせられる。
    • 教頭役の金田明夫がいい味を出している。学校ドラマでこの人を見ると、ついつい金八先生を見ているような気がしてくる。
  • エピソード2
    • いじめがやたらとリアルで、ドラマとわかっていても、見ていてつらくなってくる。だけど、ここを徹底的にやるから、そのあとのクラスの陰の支配者・宮内(森田直幸)との対決シーンが生きてくる。
    • 宮内は真矢と向かいながらこんなセリフを吐く。「どうして人を殺しちゃいけないんですか?」。こどもなら、一度は考えたことがある問いじゃないだろうか。
    • この問いに言葉だけで説得力のある答えをするのは難しいと思う。だからこそ、この本気の取っ組み合いをする対決シーンで真矢が答えるセリフには、真の迫力がある。これがふつうの会話だと、すごく嘘っぽいのだ。


相変わらず子役がいい味を出している。エピソード1で真矢が学校をやめるきっかけとなった池内(後藤果萌)。エピソード2では真矢と対決した男の子(森田直幸)。連ドラのときの生徒たちがふたたび登場するのかと思っていたが、神田和美志田未来)と真鍋由介(松川尚瑠輝)以外は前回の子役は出演しなかった。


それにしても、真矢みたいな純粋まっすぐな人は、自分のまわりを探すとときどきいる。純粋ゆえに起きる悲劇は、これまた身近に感じられ、なんともせつない。やはり、遊川和彦の脚本はよく練られている。


過剰な演出がうるさいところも多々あるが、そういうわざとらしさも含めて、この作品は人気が出たのだと思う。


骨太の脚本に役者たちは充分こたえている。怖いぐらいに生々しい。だけど、ドラマ的なある意味わざとらしい部分も、脚本・演出ともに盛り込まれている。全編リアルが続いてしまっても、視聴者は息をつくスキがない。そのバランスが絶妙だ。本当に、完成度の高いドラマだと思う。


リアルとキッチュの狭間に、人の心を動かすなにかが潜んでいる。ぜひとも、また続編が見たい。


おまけ:いまいちなところ

  • エピソード1
  • エピソード2
    • 真矢と生徒の対決シーンの一番いいところでCMを入れるのはいただけない・・・。