映画か舞台か、それが問題だ/「キサラギ」

自殺したアイドル・如月ミキの一周忌
ファンサイトで知り合った、男、5人
その部屋で事件は起こる・・・


キサラギバナー


オフィシャルサイト(http://kisaragi-movie.com/)からの宣伝文句ですが、これを見たとき、なんちゅー設定なんじゃい! と思いました。


一幕物の映画ということで、舞台好きの友人たちに薦められて見に行ってみました。出演者も香川照之、ユースケサンタマリア、塚地武雅と芸達者が集まっていて、期待してました(すんません、小栗旬小出恵介は名前だけは知っているけど、という状態でした)。「社長放浪記」を観たばかりの自分にとっては、舞台と映画で続けざまに一幕物を見るという珍しい体験です。


いやあ、それにしても面白かった。笑いあり、謎解きあり、そして・・・。二転三転四転の展開は、ときどきその設定はちょっとムチャじゃない?という思いが頭をかすめることもあるけど、多少無理があっても役者の演技でそんなモヤモヤを払拭してしまう。これで1800円は安い! ぜひとも見るべし!


そのまんま舞台化できる内容。となると、映画でやる意味があるのでしょうか。


最近ときどき思うんですが、人気役者が出演する舞台作品はチケット争奪戦が必死です。でも、映画ならその心配はないし、チケットの値段は断然安い。もちろん舞台にはライブの良さがありますけど、せっかく手に入れたチケットの日に突然都合が悪くなったりすることだってある。総合すると、どうしても映画のほうがコストパフォーマンス高い気がします。


といったところでネットでいろいろ調べていたら、やっぱりこの脚本、もともとは舞台だったんですねー。納得。


以下ちょっとネタばれありです。



コミカルとミステリーで終わると思っていた五転六転以上した謎解きの最後、今まで自分だけが取り残されていると思っていた小栗旬演じる「家元」が、じつは芸能界の荒波にもまれるミキを支えていたことがわかったとき、不覚にもほろりとさせられた。まさかこのストーリーでそんなシーンを作り出せるとは。すごい脚本! そして、それを演じ切った役者たちにブラボー!!


ずっと隠されていたミキちゃんの顔が最後に出てきたけど、あそこまでいったら出さない方がよかったかな。微妙に納得感があるような、ないような顔。酒井香奈子って言うんですね。声優さんですか。


ずっと同じ部屋で話が進んでいくけれど、カメラが固定されているわけではないところがポイント。カットごとにカメラの位置が違っているので、動きが感じられる。きっと同じようなセットがいくつもあるんだろうな。でもまったく不自然に感じさせないから、安心して話に入り込んでいられます。照明もいい感じでした。


小栗旬小出恵介の区別がつかないってのは、人としてすっかり年取った証拠なんでしょうね・・・。