不思議な符合

江國香織の名を初めて聞いたのは、ピアニストの知り合いからだった。彼女はライブハウスでトリオ演奏をやる活動的な側面を持ちつつ、話下手で内気な性格のAB型だった。なんとも掴みどころのない人という印象である。その子に「どの作品がいいの?」と聞くと、『ホリーガーデン』を薦められた。彼女は同じタイトルの曲まで作って歌うくらい好きなのであった。自分で買って読んでみたが、何ということはない、これまた掴みどころのない小説であった。4〜5年まえのことなので、いま読み直したら少しは印象が変わっているかもしれないが。


あまり本の話などしたことのない友人が突然、「江国香織のエッセイで定義されている男友達にあてはまる」と妙に納得された。もちろんそのエッセイを読んだことがないので、はてどう反応したものかと思い、小説は読むのかどうか聞いたところ、いま手元にあるのは「ウエハースの椅子」だと言う。その中で書かれている話の感覚は分かる気がする感じらしい。


そんな折、別の友人が「ウエハースの椅子」を読み直したという。しかも、以前読んだときから印象が変わったらしい。あまりにタイミングが近かったので、ことここに至ってはその本の中に自分につながる何かが潜んでいる気がしてきて、いつか読まねばと思う今日この頃である。


ほんとに読むのかはアテにならないが。


話のつづき

話のつづき

ホリー・ガーデン (新潮文庫)

ホリー・ガーデン (新潮文庫)

泣く大人 (角川文庫)

泣く大人 (角川文庫)

ウエハースの椅子 (ハルキ文庫)

ウエハースの椅子 (ハルキ文庫)