予習不足のため消化不良/「女中たち」


てっきりコメディーだと思って買ったこのチケット。だってそもそもこの3ショット。深沢あっちゃんと篠井さんが出ているんで、勝手にドタバタ喜劇を想像しちゃいました。原作・ジュネというところに着目するべきでした。錯覚いけない、よくみるよろし。


開演前から舞台には豪華なセット。とってもお金がかかっていそうな雰囲気なんだけど、本日のお代は5000円ポッキリ。かなりお得な気分。それを考えるとミュージカルは値段が高いのだな、とこんなところで改めて感慨にひたる。
会場がわさわさしているところで、するすると篠井さん大谷さんが登場。次第に会場が静まる。


2人芝居が始まる。奥様ごっこに興じる女中たち。場が温まる暇もなく、さっそくてんこもりセリフの応酬。
篠井さん、ガーターベルト姿。おみ足きれい。そんなに近くの席じゃなかったのだけど、いやそれにしてもキレイ。どうしたらこんなスタイルがキープできるのかしらん。
それに比べて大谷さんは、大柄専門メイド喫茶の店員といった風貌(失礼)。それでも、ヒールが妙に板についているのがフシギ。相当鍛練したのか。


それにしても、2人のセリフについていけない。これは女中たちのセリフなのか、奥様ごっこのセリフなのか。自分の頭の中が錯綜している間に、舞台はずんずんと進んでいく。
ずいぶんたって、奥様役の深沢さんがしずしずと登場。今回はお笑いキャラでなく、とってもマジメな役。さすが舞台人、なんでもこなせる。もちろん、マジメなセリフなのに、言い回しで笑いを取ってもいたが。


印象に残る演出が2つ。女中たちが不安や混乱を吐露していくシーンで、舞台全体が揺れだした。じつはこれは演出なのだが、とてもよくできていた。登場人物たちの心情を表すものなのだろう。
もう1つは終盤で大谷さんの長台詞独白シーン。3人のなかで自分が唯一名前を知らなかった大谷さんだったが、演技は迫力満点だった。じつはこの舞台の主役だったのかもしれない。そして、そのシーンで黒子のようにサポートする篠井さん。最初は何をやっているのだろう?と思ったが、全貌が明らかになるにつれ、舞台上に美しさが増す。乞うご期待。


それにしても、翻訳劇はよくわからん。これがいわゆる演劇ってもんなのだろう。役者は揃っていたので、話がもっとわかれば演技を味わえたはず。もうちょっと予習していくべきだったか。
日本最大の民間劇場と言われる本多劇場は、初めての観劇。そういえば、G2プロデュース作品の観劇もはじめてだったかな。
劇場でもらったチラシで気になったのは、篠井さんの次回作「Myth」。脚本・演出:鈴木勝秀とは、「レインマン」の人ではないか。うーん、観てみたい。

3軒茶屋婦人会第2回公演
女中たち

クレール :篠井英介
ソランジュ:大谷亮介
奥様   :深沢 敦

下北沢・本多劇場