いくつになってもたゆまぬ向上心/「ごじゅうよん」永田耕一ひとり芝居


永田耕一さんのひとり芝居を観劇。タイトルからもわかるとおり、永田さんは今年で54歳。この年で初めてひとり芝居に挑戦するというのは、かなりの心意気です。そのチャレンジ精神にまず感服。やっぱり人生に大切なのは、たゆまぬ向上心だと思う。


永田さんのことを知る人はあまりいないかもしれないけれど、自分のなかではもう20年以上の付き合い(?)。1980年代にニッポン放送でやっていたラジオ、「青春ファンタジア 菊池桃子 あなたと星の上で」のパートナー役として出演、といえば少しは知っている人もいるのではないだろうか。


基本はスーパーエキセントリックシアターの劇団員。旗揚げから在籍しているので、すっかり古株。ここ2年は本公演を観に行っているので、そのときの感想はこちらをご参照。


場所は、中野の中央線沿いにあるテルプシコール。といっても、キャパは100人もないような小さな劇場で、満員御礼状態。客席なんていうほどのものではなく、長いすにみんなギチギチに座る。最前列は、舞台と同じ高さで地べたに直座りである。なんともアットホームな場所だ。ど真ん前に座っていたのは、小学生の女の子だった。


どんな内容をやるのかと思っていたが、ショートコントを10作品ほど。その合間に前もって撮影しておいたちょっとしたネタをプロジェクターで流す。それぞれの作品はなかなかよく練られていた。演技も淀みなく、しっかり魅せてくれた。観客との距離がこれだけ近いところですべてを背負い、そのなかで芝居をこなすのだから、やはり実力がなければつとまらない。改めて役者というのはすごいものだ、と感心。途中、ちょっとした下ネタがあったけれど、あれを小さな女の子のまえで演じるのは、かなりつらいだろうな、とよけいな心配。


最後のネタが始まって少したったところで、「バチっ」という音とともに照明が切れるアクシデント。真っ暗で、姿はまったく見えない。「ぼくは芝居を続けるべきなんだろうか」とつぶやく永田さん。アドリブがきかない不器用さを、こんなところで再認識させられようとは(笑)。光がないなかで、とまどいながら芝居を続ける。そうこうするうちにプロジェクタの光が照らされ、なんとか姿が見える状態になった。母への想いを語る、今作品のなかで唯一笑いがないストーリー。きっとこの作品が一番やりたかったんじゃないだろうか。


近いうちにひとり芝居のコンクールに出るかもしれないとのこと。そしたらまたぜひ観に行きたい。でも、こんどはもっといい劇場でやってください。座るときから想像はしていたけど、椅子が硬くて、なおかつ窮屈で動けないなかでの1時間半の舞台、お尻が痛すぎです・・・。