挑戦する心と得られたもの/「女中たち」パンフレットより


「女中たち」のパンフレットにインタビューが載っている。出演者である3軒茶屋婦人会メンバー3人と、演出のG2、そしてインタビュアー(?)の古田新太である。これがとても面白かった。


そもそも、この3軒茶屋婦人会は男優3人が女優として演ずる舞台を上演している。第1回公演「ヴァニティーズ」では、3人でハイスクール卒業前から10年後までを演じたらしい。今回の舞台では、女中2人と奥様である。


そこで気になるのが、みんなふだんから女優をやっているのだろうか、という点だ。篠井英介深沢敦は以前からそっち系(笑)で有名なので、苦ではないはず。問題は大谷亮介である。これまでこの人の芝居を見たことがなかったのだが、ふだんから女形をやっている人なのだろうか。


答えは否だった。それは、このインタビューに書かれていた。大谷さんが女の役を演じるにあたって、こんなくだりがあった。

【篠井】:でも、そんな思いをしたくて、このプロジェクトをやろうと言い出したんでしょ。だって、大谷さんが言い出しっぺですから、この「三人でやりたい」というのは。
【大谷】:俳優を長くやっていると自分でも、「今回はこうやろう」というのが自然とある。でもここに参加している時には、それがまったくない。


この後、大谷が初心に帰って演じているということを告白していて、みんなでそのチャレンジ精神を褒めたたえている。大谷は今年50歳。その年齢にして、まだ挑戦をしていくというエネルギーには頭が下がる。


そして、そのチャレンジの結果得られた効果として、こんなことに触れている。

【大谷】:だからね、前回やってから3年くらい経つけど、あれ以降、女性への接し方がちょっと変わってきた。
【一同】:(爆笑)
【大谷】:ホント、我慢するようになったし、「ゴメンネ」と本当に謝れるようになった。
【深沢】:もうちょっと早く、俺たちと演ってればよかったね(笑)。


もちろんこれは副産物なのだが、それにしてもこんな効果が得られるのなら、自分も女優を演じてみたいという気になる(笑)。


これ以外にもインタビューは笑いが満載。また、他のページには各人へのインタビューも当然あるし、写真もステキなものが散りばめられている。残念ながら、舞台で使った衣装写真はないが、それでも充分楽しめるものとなっているので、ぜひオススメである。1200円とやや値段が高めだったが。